Journal電気の時代読む時間 約3分
2040年の
分電盤
AIの
電気の
世界のデータセンターが使う電気は、2030年までに2倍以上になる見通しだ。日本は、2040年に次世代型の太陽電池を約20ギガワット入れる目標を立てた。どこで作られた電気も、建物の中では受変電設備と分電盤と配線を通って使われる。数字の見通しと、その配線をつなぐ仕事を、順に書く。
- 945TWh2030年、世界のデータセンターが使う電力の見通し。今の日本全体の消費をわずかに上回る。IEA『Energy and AI』(2025年4月)
- 2×2030年までに、データセンターの電力消費は2倍以上に。同
- 1.1–1.2兆kWh2040年度、日本の発電電力量の見通し。資源エネルギー庁「2040年度におけるエネルギー需給の見通し」(2025年2月)
- 20GW2040年、ペロブスカイト太陽電池の導入目標。第7次エネルギー基本計画(2025年2月18日 閣議決定)
- 2030s核融合の発電実証を目指す時期。フュージョンエネルギー・イノベーション戦略(2025年6月4日 改定)
- 1960電気工事士法ができた年。電気工事の作業を、免状を持つ人に限る。電気工事士法(昭和35年法律第139号)
01 Demand945テラワット時
2025年4月、国際エネルギー機関(IEA)は、AIとエネルギーについての報告書を出した。世界のデータセンターが使う電気は、2030年までに2倍以上に増え、約945テラワット時に達する見通しだという。今の日本全体の電力消費を、わずかに上回る量である。増える主な理由として、IEAはAIを挙げている。
日本の第7次エネルギー基本計画も、同じ向きの見方を書いている。生成AIの普及に伴ってデータセンターや半導体工場が増えれば、大幅な効率の改善を見込んでも、将来の電力需要は増える可能性が高い。国内では、電力広域的運営推進機関が2025年1月に出した想定で、2023年度まで減っていた電力需要が、2024年度から増加に転じ、2034年度にかけて増えるとされた。理由に挙げられたのは、経済成長と、データセンターと半導体工場の新設や増設である。資源エネルギー庁は、2040年度の発電電力量を、1.1兆から1.2兆キロワット時程度と見通している。
02 Generation屋根と壁で、つくる
電気の作り方も変わりつつある。同じ計画は、軽く柔らかいペロブスカイト太陽電池を、2040年に約20ギガワット導入する目標を掲げた。これまで太陽光発電を載せにくかった、重さに弱い建物の屋根や、建物の壁にも付けるためである。
核融合は、その先の話になる。政府のフュージョンエネルギー・イノベーション戦略は、2025年6月の改定で、世界に先駆けた2030年代の発電実証を目指すとしている。
数字の
単位が テラワット時でも、 使う 場所では、 一つ 一つの 回路に 分かれている。
03 Distribution盤を通って、部屋へ
どこで作られた電気も、建物で使われる時には、同じ順に進む。受変電設備で受け、幹線で各階へ送り、分電盤で部屋ごとの回路に分け、配線でコンセントと照明に届く。屋根や壁の太陽電池で作った電気も、建物の中では盤と配線を通る。分電盤には回路ごとにブレーカーが並び、どの部屋へ電気を送るかを分けている。
その配線をつなぐ作業は、法律で資格を持つ人に限られている。1960年にできた電気工事士法は、住まいや小さな店の電気工事は第一種か第二種の、最大電力500キロワット未満の工場やビルの電気工事は第一種の、電気工事士の免状を持つ人でなければ、作業をしてはならないと定めている。
04 Funabashi学校と庁舎と、URの住まいで
タカネ電業は、データセンターも、ペロブスカイト太陽電池も、核融合も手がけていない。受け持つのは、学校、庁舎、海上自衛隊の基地、千葉県内のURの住まいと県営住宅の、受変電設備と電灯と動力の工事である。工営本部の業務の案内には、特別高圧受変電設備の施工と維持管理が書かれている。
工営地域部の仕事には、照明やエアコンの工事と並んで、電圧の変更がある。部屋で使う電気が増えれば、配線と盤もそれに合わせて直す。
国家資格の受験料と講習会の費用は、会社が全額を負担する。社員は毎朝、船橋市松が丘の本社から社用車で現場へ向かい、転勤はない。
数字の単位がテラワット時でも、使う場所では、一つ一つの回路に分かれている。教室の分電盤の回路も、その一つである。
Sources
- IEA "Energy and AI"(2025-04-10) www.iea.org
- 資源エネルギー庁「エネルギー基本計画」(令和7年2月)本文 www.enecho.meti.go.jp
- 資源エネルギー庁「2040年度におけるエネルギー需給の見通し(関連資料)」(令和7年2月) www.enecho.meti.go.jp
- 同じ頁の資料のファイル名(20250218)と、資源エネルギー庁の頁 www.enecho.meti.go.jp
- 内閣府「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」(令和7年6月4日 統合イノベーション戦略推進会議 改定) www8.cao.go.jp
- 電気工事士法 第2条・第3条(e-Gov 法令検索 laws.e-gov.go.jp
数字は、国際エネルギー機関、資源エネルギー庁、内閣府の公表によります(2026年11月時点で確かめた版)。ミニチュアの絵は、実際の現場を写したものではありません。